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2026.05.19

beyond Tube Preamp 2S 開発ストーリー

beyond Tube Preamp 2Sの変化は、初代を否定して進めたものではありません。初代が持っていた方向性を残しながら、9V設計から100V昇圧を軸に回路を見直し、レンジやEQの扱いまで含めて、より安定して音を成立させる方向へ進めたものです。

beyond Tube Preamp 2S は、初代から何が変わったのか。
この問いは、単純なスペック比較だけでは少しこぼれます。初代には初代の狙いがありました。9Vのまま設計し、ビンテージ感や良い意味での粗さを出す。その方向性の中で、当時は12AU7を使っていました。
2Sでは、回路再設計の大きな軸として、筐体内で9Vを100Vまで昇圧する設計を採っています。ただし、ここで大切なのは、100V昇圧だけで何かが決まると書かないことです。私たちはこの変更を、初代の方向性を残しながら、より安定して音を成立させるための設計更新として扱います。
レンジ感やEQの見直しも、その流れの中にあります。製品プロフィールでは、回路再設計によってレンジ感が上がる方向が整理されています。また、2Sは3バンドEQ、Gain、パッシブEQ + TMBトーンスタックを備えています。これらは、原音のキャラクターを強く塗り替えるためというより、今ある音をどう前段で整えるかを見るための要素です。
そして 2S という名前も、初代9V機との差別化、Second Stage / Second Step のような次の段階という含みを持たせた名前です。
つまり、2Sは初代を切り離した製品ではありません。初代の狙いを受け継ぎながら、回路、レンジ、EQ、名前の文脈まで含めて、次の段階へ進めたモデルです。

初代には、初代の狙いがあった

初代から何が変わったのかを見るとき、最初に覚えておいていただきたいのは、「初代には初代の狙いがあった」ということです。
初代は、ビンテージ感や良い意味での粗さを狙い、9Vのまま設計されていました。これは、現行機と比べるための弱点ではなく、その時点で出したかった質感に向けた設計です。
9V運用では、使える真空管の選択肢が限られ、初代では12AU7を使っていました。そこには、限られた条件の中で成立させる音があります。少し丸さがあり、整いすぎない手触りがあり、初代らしい方向性がある。
だから、2Sの話は「初代を置き去りにした」という話ではありません。むしろ、初代で見ていた方向を残したまま、設計の支え方をどう進めるかと考えました。

回路再設計の軸は、100V昇圧だった

2Sで大きく変わった点のひとつが、筐体内で9Vを100Vまで昇圧する設計です。開発上の回路再設計では、この変更が大きな軸になっています。
ただし、ここで慎重に扱いたいことがあります。100V昇圧という言葉は強く見えますが、それだけで音や反応の違いを細かく言い切ることはしません。電圧の変更は設計上の大きな前提ですが、そこから生まれる細かな効果を、未確認のまま並べるべきではありません。
ここで言えるのは、2Sでは9V設計から100V昇圧を軸に回路を見直した設計更新によって、初代とは違う前提で真空管やレンジ、EQの扱いを組み立てられるようになった、ということです。
初代が9Vの条件の中で成立していたとすれば、2Sはその条件を変えて、同じ方向性をより安定して扱うために進めたモデルです。ここに大きな違いがあります。

レンジとEQは、派手さではなく扱う幅のために見る

2Sでは、レンジ感の向上も重要なポイントです。
ここで言うレンジは、単に高域が目立つ、低域が増えるという話ではありません。前段で入った音が、どれくらいの幅を持って次へ渡るか。弾いた強弱や音の密度が、どのくらい残るか。そういう場所を見るための言葉です。
EQも同じです。2Sは、Treble / Mid / Bass の3バンドEQと、パッシブEQ + TMBトーンスタックを備えています。EQというと、音色を大きく塗り替える操作として見られがちですが、元のキャラクターを消すためだけのものではありません。
例えば、デジタルアンプやJCのような環境で、ギターやアンプのキャラクターを残しながら前段のまとまりを整えたいとき、EQは「何を足すか」だけでなく「どこを残すか」を見るための手がかりになります。Treble、Mid、Bassを大きく動かす前に、まずフラット寄りで弾いたときの密度、立ち上がり、強弱の残り方を聴いてみる。そこから必要な分だけ触る。
2SのレンジとEQは、目立つ変化を演出するためだけに見るより、初代から続く方向性をより扱いやすくするための要素として見たほうが自然です。

“2S”は、正式略称よりも次の段階というニュアンス

名前の話も、開発ストーリーの一部です。
2S には、Second Stage / Second Step のような含みがあります。ただし、ここは厳密にどちらかへ固定された正式略称ではありません。2Sという名前は、初代の否定ではなく、初代から次へ進めたことを示す記号です。
初代の方向性を残したまま、設計前提を更新し、音の成立をより安定させる。2S は、その流れを短く示す名前として受け止めると、製品の位置づけが見えやすくなります。

beyond Tube Preamp 2Sで変わったのは、初代の狙いそのものではなく、それを支える設計の前提です。9V設計から100V昇圧を軸に回路を見直し、レンジやEQの扱いまで含めて、初代の方向性をより安定して成立させる方向へ進めています。
まずは、初代との違いを勝敗ではなく、設計の支え方がどう変わったかとして読んでみてください。

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